ファミリービジネス
における
コーポレート・ガバナンス


ファミリービジネスにおける戦略、ガバナンス、組織構造


すべてのファミリー ビジネスは、独自の歴史と成長パターン、そして長期的な方向性を持っており、それゆえに固有の資源と競争上の優位性を備えた独特な存在です。 この独自性は、会社と所有ファミリーとの間の複雑な相互作用の産物であり、時間の経過とともに、双方に独特の影響を与え合います。 こうした状況は、多くのファミリー ビジネスにとっては教科書的な解決策が向かないことを意味します。 この独自性 (業績上のすべての利点ならびにリスクも含む) を長期的に維持できるかどうか、またどのようにして維持するのかという問題も生じます。企業は顧客や市場から迫られる新しい課題に適応しながら成長していきます。彼らは、競争力を維持・強化するために、提供する商品やサービスを常に改善しています。ファミリービジネスの存続は、戦略の方向性、経営、組織構造、法的形態の選択、さらには経営と株主がガバナンスにおいて協力する方法など、これらの絶え間ない改変に支えられているのです。また、最後の 経営と株主がガバナンスにおいて協力する方法には、監査機関または諮問機関の設置やファミリーがそこにどの程度代表されるか、または代表されるべきかという問題が含まれるかもしれません。

家父長的リーダーシップ : そのメリットと限界


ファミリー ビジネスの創業の歴史は、そのリーダーシップ形態やそれに伴う経営慣行の特質と切り離すことができません。 創業者は、影響力行使の手段、コミュニケーション・スタイル、自身の価値観などによって日々の意思決定を行い、それによってまさに協力し合う文化を生み出しています。

創業期には、トップとその他の事業部門との間には、明確な分業体制が確立されています。 主要な意思決定機能はすべてトップに集約されています。 他のビジネス部門や管理レベルの人々は、実施プロセスに集中し、通常業務の実行や達成に専念できます。そして実績を上げ、責任を与えられることでさらに関心や適性を伸ばせる人たちに、段階的に責任が分担されていきます。

このようなガバナンス構造の利点は多くの場合、議論の余地がありません。すなわち、すばやい意思決定プロセス、無駄のないコミュニケーション、社内の複雑な決裁からの自由、迅速で柔軟な対応、リソースの経済的な活用、空いたポジションを補充するための社内の人材準備などです。このような経営・組織環境は、世代交代があっても長期にわたって維持することが確かに可能かもしれません。 しかし、特定の状況下では、それらが限界に達し、ビジネスの継続的な発展・成功を危うくすることがあります。

 

コーポレート・ガバナンスの脱家父長制への移行時期


ファミリー ビジネスが長期にわたって急速に成長し、大規模な買収を実施し、大幅に国際化され、ビジネス活動が大きく多様化した場合、要するに、ビジネスの複雑さが増し、従来の問題解決方法では手に負えなくなり始めた場合、 それは経営と組織構造の根本的な変革を検討する時期なのです。

このような変革には、組織構造全体の体系的な再検討、核になるビジネス・プロセスの(顧客の視点で考えた)慎重な再設計、組織の再構築と関連する責任領域の集約、さらには、新たなリーダーシップへの理解を進めることが必要です。新たなリーダーシップとは、企業の責任を複数の人々で分かち合うことを可能にし、各役職レベルで縦と横の連携を促し、能力主義による昇進や採用ポリシーを可能にするようなリーダーシップです。

ただし、このような変革を行うには時間がかかります。 何よりも、こうした大きな変革を成し遂げるトップには、広範な再編成を真剣に望み、そのような変化のプロセスを冷静かつ断固としてやり抜く強靭な意志を持った人物が求められます。 世代交代は、しばしば、こうした発展のステップを確実に、そして十分な意欲を持って踏み出す良い機会となります。

こうした変革のプロセスは、しかるべき監督・監査の機関設置を検討したり、あるいはファミリー株主がそのような脱家父長制の体制にどのようにどのように関与すべきかを話し合ったりするきっかけになることがよくあります。

 

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